「自己都合で不妊治療をやめていた場合、胚盤胞の保存延長に保険は適用できません」
医者の申し訳無さそうな顔と衝撃的な一言。
いや、自己都合ではなく仕事・ワンオペ育児期間だったので不妊治療ができておらず、直近も忙しいので再開は予定していなかった。でもそれも全部自己都合。
私に残された選択肢は
- 胚盤胞を破棄する(2人目を完全に諦める)
- 心療内科等に行き、体調不良であったことにする
- 保険適用外で延長する(そうすると2つの胚盤胞についてはずっと保険適用外)
だった。いや、破棄するのは無理だし、健康なのに心療内科に行くのもどうなのか。助成金もなくなったのに保険適用外なんて…ブルジョワしかできんやろ。
そこで私は第四の手段を医者に提案した。
「来週、生理が来ます。そこから再開すれば、治療をしていることになって胚盤胞は保険適用ですよね?」
不妊治療の保険適用で救われた人は多いかもしれない。でも本当にルールが歪だ。きっと私達の世代はモルモットで、息子の世代にはよくなっているのだろう。どうかそうであってほしい。
かくして、私は超絶忙しい5月から不妊治療を再開したのだった。
不妊治療について、正直私はもう諦めている節もあった。稽留流産を1回、化学流産は3~4回。期待して挑むたびに心に傷を作る。だから諦めていることにしているうちに、本当に諦め始めていた。残り2回。今ある胚盤胞だけで終わらせるつもりだ。
残りの低グレードの胚盤胞に大きな期待もなかった。だからこの忙しい時期に不妊治療を再開してもどうせ移植して終わりだろうと思っていたのだ。現在仕事ではイベントのためてんてこ舞い。こんなにトラブル起こる?というくらいには色々なアクシデントがあったし。イベントと同時に書籍の制作も進めていたりと忙しさの絶頂を駆け上がっていた。
期待を込めて不妊治療をしていた頃は早く結果が知りたくて、朝イチに予約していったものだが、忙しく期待も薄い今回、夕方の採血ができるギリギリの時間に結果を聞きに行った。採血が終わり結果を待っている時間もSlackを見ていて、結果よりも仕事のほうが気になっているくらいだった。いや、たぶんそうしようと思っていたのかもしれない。何もなければ期待してしまう。そして悲しみにのどん底に落とされる。
そんな荒んだ心で結果を聞きに行くとまさかの陽性。hcgも140を超え息子を授かったときよりも良い結果だった。だが、ここで喜べない。私は心拍を聞くまで何も喜べない…そう思っていたが、陽性という結果はやっぱり素直に嬉しかった。
夫も喜んでいたが、簡単には喜べない複雑さがあるようだ。やっぱり何度も流れてしまっている現状が有り、その度に悲しさを背負ってきたから。そして仕事も怒涛を迎える。入稿、そして新たなトラブル…それに加えて体調も優れない。。
そして、体調が悪い理由についてチームメンバーにもまだ明かせないところが一番つらい。現在、胎嚢までは確認できているが、やっぱり不安だ。早く結果が出てほしいと切に願う